FCTメディア・リテラシー研究所 Japan Media Literacy Research Institute
『新版Study Guideメディア・リテラシー〔入門編〕』鈴木みどり編、リベルタ出版、2004年
2000年夏に刊行された鈴木みどり編『Study Guideメディア・リテラシー〔入門編〕』(リベルタ出版)が、内容を大幅に改訂して2004年12月に発刊した。通常なら、入門編の2刷として増刷されるのだが、立命館大学メディア・リテラシー研究プロジェクトとFCTの協同研究のなかで、この4年間の実践や利用者からの反響を吟味し、内容の検討を重ねた結果、大きく内容を改訂し、『新版 入門編』として刊行される運びとなったのである。
本書は、初版と基本的に同じように5章編成で構成されている。ただし、「4章 テレビドラマと私たちの世界」と「5章 ニュース報道を読み解く」は全面的に検討をくわえ、大幅に内容を改訂した。また、姉妹編の〔ジェンダー編〕(2003年)と合わせて使えるように、フォーマットを統一している。
「第1章 メディア・リテラシーをどう学ぶか」では、日本のメディア事情を踏まえてメディア・リテラシーを学ぶ上で基本となる理論的な枠組みを示している。さらに、学びの場の作り方や学びの進め方についても詳しく説明されている。「第2章私とメディア、私たちとメディア」では、環境化しているメディアを意識化し、メディアについて学ぶ大切さや奥深さ、メディア・リテラシーの必要性を学ぶ。第3章〜5章では、映像メディアのテレビを中心に、テーマ別に実践的かつ系統的に学ぶことができるように組み立てられている。
2章〜5章の各章では、同じテーマで4回シリーズを通して学びを深めていくように組み立てられている。各章の最初には「始めるまえに」という導入部分があり、学びのポイントが簡潔に示されている。次に「ねらい」と「活動のながれ」を読むことで、読者はどのような活動を重ねることで、この章の目的を実現していくのかを把握することができる。さらに、「ファシリテーター/教師の準備」では、VTRテクスト、記入シート、資料の作成と準備、にわけて、4回分の分析テクストやシート、資料の準備を説明している。初版の際にはこの分析テクストの準備などが分かりづらい、という読者の声があったが大きく改善されている。4回シリーズも「導入」「組み立て」「活動」と順を追って学び方を理解し、実践できるように構成されている。
資料編も充実している。日本の放送法や自主基準だけではなく、イギリスのBBC、カナダ民間放送連盟の番組基準が訳出され、放送の社会的制度としての側面についても詳しく考察できるようになっている。
来る3月26〜27日、2日間でこの新版をどう使いこなすのかをテーマにFCT第6回メディア・リテラシー研修セミナーが大阪・豊中市で開かれる。学校や市民講座でメディア・リテラシーの学びを始めようと考えている方にぜひ活用してほしい。 
鈴木みどり編『新版 Study Guideメディア・リテラシー[入門編]』(リベルタ出版、2004年、変形A4版、142頁、定価2,000円)
−『fctGAZETTE』No.85(2005年3月)掲載−
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